東日本大震災でバラバラになってしまった地域の人が「集まれる場所」を作ろうというコンセプトで、今年6月から南三陸町立伊里前小学校を会場に「たつがね学校」が開催されてきました。
最終回の11月14日は、南三陸町の語り部仲松敏子さんによる「ふるさと南三陸の民話を楽しもう。」という企画でした。
聞きなれた地元の言葉で優しく語られる南三陸町の昔話に、会場から納得の唸り声と大きな拍手が起こりました。
南三陸町歌津に伝わる「コオノトリの雨乞いの岩」の昔話。
「昔、昔ね。毎日、毎日日照りの日が続いてね。村の人が作物が枯れて困った時に、コオノトリの親子が桑の畑の平らな岩を突いたら4日後その平らな岩に小さな穴が開いてね水が出てきて村の人たちは水不足から助けられたんだって。コオノトリの体は壊れてしまったんだって」
これが「コオノトリの雨乞いの岩」のお話」。
今でも日照りが続くと、雨が降るように祈りを捧げられ信仰されているそうです。
たつがね学校を企画した伊里前小学校の兵藤文隆校長先生は、「震災で、住みなれた地域から仮設住宅などに住む場所を変えなければならなかった人たちの中には、地域の中になかなか溶け込めない方もおいでです。学校、保護者、仮設住宅の住民の人たちが学校を拠点にして集まれる場所が作れ、住民の方々が地域に参加しやすくなればと思い企画しました。過去4回は南三陸町の歴史や文化を、地域の方を講師にして住民の方々と一緒に勉強しました。子どもたちには、南三陸町を愛する子どもに育ってほしいと思います」と穏やかに地域への強い思いを話しました。
この日講師を務めた仲松敏子さんは、南三陸町にある「南三陸ホテル観洋」などで語り部の活動をされています。
仲松さんは、「たくさんのボランティアさんに助けてもらいました、感謝しています。私たちは、明日に向かって1歩1歩進んで行きたいですね」と感謝の気持ちを話しました。
新しいコミュニティーが作られて約1年6カ月。新しいコミュニティーの中で住民同士が助け合える環境が再生されるような働きかけが今後ますます必要なのだと、「たつがね学校」に参加して考えました。
(取材日 平成24年11月14日)