ココロデスクです。
東京から来てくれたボランティアグループ、「新宿区若松地区協議会まちづくり分科会」(「新宿組」)の活動レポートの第2回です。
「新宿組」ボランティア随行記 その1 事の始まり
この日の現場は、宮戸島の入り口にある公園。8月に報告したNPOスマイルシードが取り組んでいる、観光復興のための植栽活動です。
笑顔の種をまく(東松島市宮戸)
このあたりは積雪こそ少ないものの、冬場は強い季節風が吹き、植えても根付きません。屋外作業も大変です。
そうしたわけで、ここは今日が年内最後の活動日です。
今日の作業メニューは、新たに花壇を開いてジャーマンアイリスの球根やパンジーの花苗を植えること。
スマイルシード代表の黄本富士子さんが、これまでの活動の経緯とこれからの目標を説明してくれました。
これまで延べ数千人の参加者があり、少しずつ形が見えつつあること。
これまでは草花だけだったけれども、来年はいよいよ樹木の植樹にもチャレンジする計画であること。
繰り返し参加してくださる人も多いということ。
今日参加した人たちも、ここを故郷のように考えていつでも来てほしいということ。
皆、熱心に聞き入っていました。
さて、ジャーマンアイリスの球根を提供してくださる花生産者の圃場に行って球根を頂いてくる班と、ここに残って花壇の準備をする班の二手に分かれて、いよいよ作業開始です。
球根を頂いてくる班にはChocoが参加、私はここに残りました。
(球根班の様子は、近々Chocoが報告します)
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花壇づくりの第一歩は草むしり。しっかりと根っこから抜かないとまた生えてきてしまうので、シャベルや熊手を使って丁寧にむしります。
根が横に延々と延びている草もあって、思ったよりも大変です。
「これだけ全部、今日中に終わるのかなぁ……」
立ち上がって腰を伸ばしていると、ついついそんなボヤキも。
ようやく草をむしり終えると、次は地面を掘り起こします。
ここは津波にどっぷりと浸かったためか、少し掘ると粘土のようなヘドロのような青黒い土に当たりました。移植した後の水はけが心配です。
クワがあればはかどるのですが、この日はもっと難しい現場の方にそれらの道具が投入されていたので、あるだけの道具でやりくりをしました。
バーク堆肥をまき広げて、球根調達班の帰りを待ちます。 |
雨が降ってきたため弁当はマイクロバスの中で。
食後は、島内を一周して島の現状を見て回りました。
宮戸島・大高森から見た松島湾の眺め「壮観」 |
初めて見る光景に、皆、時を忘れて眺め入っていました。
幸い、一回りして戻って来た頃には雨は小止みになってきたので作業再開。
これがジャーマンアイリスの球根です。 |
その間隔で穴を掘り、芽が出る方が上になるように移植します。
穴を掘る人、球根を置く人、上から土を掛ける人と、誰が指図するでもなく3つの役割を分担して、黙々と作業に励みます。
15分ほどたったところで誰かが
「1つ1つ穴を掘るのではなく、1筋ずつまとめて掘り返してはどうだろう?」
と提案をしました。
なるほど。
そこへおあつらえ向きにクワと大きなシャベルが届いたので、早速実行です。段違いに効率が良くなりました。
ジャーマンアイリスの花壇のへりには、パンジーとビオラの苗、それにムスカリの球根を密植し、この日の作業は終了しました。
誰かがしみじみとつぶやきました。
「作業の前は雑草が繁る原っぱだったのに、人が集まって力を合わせコツコツ黙々と取り組んだら、今や立派な花壇だものなぁ」
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「ボランティアに行って被災地を支援したい」という人は今でもたくさんいるようです。
でも、ひと頃に比べれば現地で活動する団体の数は減っているのも事実です。
支援が必要な場はまだまだたくさんあるのに、ボランティアに参加するための受け皿が見えにくくなっているのです。
まして、なんの「つて」もない方が単独で被災地に入るには、高いハードルがあります。
企業や学校、各種団体、NPOなど、元々ある単位でボランティアに来る団体が多い中で、ある地区の住民が集まって来る例はあまり多くはないかもしれません。
今回のように少人数でも、時には個人でも参加しやすい受け皿がもっと生まれて、いっそうきめ細かく支援を提供できるようになれば良いと思いました。
あいにくの小雨混じりの空の下、皆が地面に膝をついて一心に移植に取り組む様子は、まるで津波で傷んだ大地の爪あとをいたわる仕草にも見えました。
ジャーマンアイリスが咲くのは来年の初夏。
「花が咲くころに絶対に見に来たい」
「次は木を植えたい」
参加した方々にとって、ここは大切な思い出の場所となったようです。
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今夜の合宿をさせていただく、石巻市・万石浦の浜にある阿部勝子さんのお宅へと向かう道すがら、地元の食品スーパーに立ち寄りました。今夜の食材を買い求めるためです。
「せっかく石巻に行くのだから、三陸の海の幸を堪能したい」というのも、メンバーにとってはとても重要な目的でした。
受け入れる私たちとしても、ぜひ、宮城の食の豊かさを実感して帰っていただきたいので、張り切ってご案内しました。
鮮魚売り場には、マグロ、カツオ、サンマ、タラをはじめ、活きの良い鮮魚が豊富に並んでしました。
「え、これは安い!」
「サンマの活きが違う」
「クジラを売っているの、初めて見たよ」
活きの良さ、種類の豊富さ、値段の安さに目がくらんだのか、バスケットはたちまちいっぱいに。「こんなにたくさん食べられるのかな」と内心ヒヤヒヤでした。
その晩は、薪で沸かした風呂で汗を流し、勝子さんの用意してくださった手料理をお腹いっぱいごちそうになって、大いに語り合い、ぐっすりと眠りました。
スーパーで購入した魚も、勝子さんの見事な包丁さばきでおいしい刺身になって食卓に並んだことは言うまでもありません。
(つづく)
次は→
「新宿組」ボランティア随行記 その3 ホヤにはカキの、カキにはホタテの (石巻市)
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この日の植栽活動の模様は、こちらでも詳しくご覧いただけます。
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(平成24年11月17日)