こんにちは。
けいこです。
今年も残すところあと少し。
毎年この時期になると、1年ってあっという間だなぁ…としみじみ感じてしまいます。
2012年最後の1カ月、寒さに負けずに取材に飛び回りたいと思います。
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風が冷たく、寒さが厳しかった11月17日。
この日仙台市の荒浜で「東北コットンプロジェクト」の綿花収穫祭が行われると聞き、お邪魔してきました。
(※名取市での収穫祭の様子は、10月30日の記事をご覧ください)
当日は小雨が降る中、東北コットンプロジェクトの関係者やボランティア、地元の方など約300名が集まって綿花の収穫作業を行いました。
荒浜での綿花栽培面積は約8ヘクタール。
白く柔らかい綿花が顔を出している様子は、津波の大きな被害を受けた土地にとても映え、農地として栄えてきた荒浜の復興の象徴になっているような気がしました。
収穫作業に続いて行われた収穫祭には仮設住宅に住む方も招かれました。
東北コットンプロジェクトを支援する団体による飲食ブースの出店などがあり、温かい食事を楽しみながらたくさんの交流が生まれていたようでした。
収穫風景に目をやると、中学生の姿が目に留まります。
仙台市にある南吉成中学校の1年生たちです。
柔らかい綿花の感触に歓声を上げながら、1つ1つ綿花を丁寧に摘んでいきます。
東北コットンプロジェクトでは、地元の中学校との交流も行われていたようです。
子どもたちにとってどんな経験になっているのか、詳しく話を伺ってみたいと思います。
南吉成中学校は仙台市の西部の高台にあります。
震災によって地割れや地盤の傾きが起こり、校庭の一部やプール、テニスコートが使えなくなったそうです。
その後、沿岸部の様子も知ってほしいという先生たちの思いから「被災農家弟子入り体験」という授業のプログラムが組まれ、荒浜の綿花畑を通じた子どもたちの活動が始まります。
弟子入り体験は、まず荒浜に生きる人の生の声を聞くことから始まります。
今年の7月にプロローグとして行われたのは、「仙台東部地域綿の花組合」の副組合長、渡邊静男さんによる講演です。
荒浜の街を襲う真っ黒な津波、避難する人々の様子、ヘリコプターによる救助…。
震災の経験談や復興に向かって歩きだす渡邊さんの話を聞き、涙する生徒もいたそうです。
その後、生徒たちは実際に荒浜の地へ足を運び、被災した荒浜小学校の視察や綿花畑の草取り作業などの活動を始めました。
そのような経験を経ての今回の収穫。
収穫の喜びはとても大きなものであったと思います。
生徒たちに、今日の収穫の感想を聞いてみました。
「今日の綿花の収穫で、農家の人たちの今までの頑張りや思いが伝わってきました。収穫されたたくさんの綿花を見て、これからも前を見て頑張ってほしいと思います」
「まだ荒浜にはがれきが残っているけど、綿花が農家の方々の希望につながればいいなと思います」
「子どもたちには震災を経験した方の体験談を聞くことで、生き抜く力を感じ、養ってほしいです」
そう話してくれたのは、南吉成中学校の髙橋教義校長です。
「実際に荒浜の惨状を目の当たりにしてから、子どもたちは被災地や、被災された方に対して何かをしたいという思いが大きくなっていたようです。この体験で、“自分たちでも何かができる”ということを実感していたと思います。“自分は社会貢献をしたんだ”という自信を持ち、助け合いができる大人になってほしいと思います」
荒浜から学んだ防災への意識。
髙橋校長は今後、この経験を基に、子どもたちとともに自分たちの地域の防災力を高める活動をしていきたい、と言います。
炊き出しや避難所の設置と運営などの地域防災訓練は、今後漸次子どもたちの手により実施していく予定そうです。
それが地域住民と子どもたちの関わりを強くし、災害弱者を見過ごさない地域づくりにつながる、と髙橋校長は話をしてくれました。
荒浜と名取の被災した農家を支援する「東北コットンプロジェクト」。
東北の農業の新しい道しるべを示すのみでなく、子どもたちが考える“何かしたい”という思いを農業を通じて後押しし、経験の幅を広げていました。
震災当時は小学生だった生徒たち。
もしかしたらこの経験をきっかけに、仙台の農業復興、街の復興の担い手になる大きな人材が生まれるかもしれません。
綿花の収穫を通して身に付けた防災意識やその知識。
大きな災害が起こらずとも、いつかきっと誰かの支えになる日が来るのではないでしょうか。
(取材日 平成24年11月17日)
けいこです。
今年も残すところあと少し。
毎年この時期になると、1年ってあっという間だなぁ…としみじみ感じてしまいます。
2012年最後の1カ月、寒さに負けずに取材に飛び回りたいと思います。
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風が冷たく、寒さが厳しかった11月17日。
この日仙台市の荒浜で「東北コットンプロジェクト」の綿花収穫祭が行われると聞き、お邪魔してきました。
(※名取市での収穫祭の様子は、10月30日の記事をご覧ください)
荒浜の綿花畑にはこんな看板が。 右のポスターは荒浜小学校の児童が描いたものだそうです。 |
当日は小雨が降る中、東北コットンプロジェクトの関係者やボランティア、地元の方など約300名が集まって綿花の収穫作業を行いました。
荒浜での綿花栽培面積は約8ヘクタール。
白く柔らかい綿花が顔を出している様子は、津波の大きな被害を受けた土地にとても映え、農地として栄えてきた荒浜の復興の象徴になっているような気がしました。
小さな子どもも収穫に参加。 海外からボランティアに来た方の姿も見えました。 |
収穫作業に続いて行われた収穫祭には仮設住宅に住む方も招かれました。
東北コットンプロジェクトを支援する団体による飲食ブースの出店などがあり、温かい食事を楽しみながらたくさんの交流が生まれていたようでした。
会場には昨年からの活動を紹介する パネルの展示も。 |
温かい食事に会話が弾みます。 |
仙台市にある南吉成中学校の1年生たちです。
柔らかい綿花の感触に歓声を上げながら、1つ1つ綿花を丁寧に摘んでいきます。
東北コットンプロジェクトでは、地元の中学校との交流も行われていたようです。
子どもたちにとってどんな経験になっているのか、詳しく話を伺ってみたいと思います。
「ふわふわの感触が気持ちいい!」と、 綿花を摘む女の子たち |
1つ1つ丁寧に収穫していきます |
南吉成中学校は仙台市の西部の高台にあります。
震災によって地割れや地盤の傾きが起こり、校庭の一部やプール、テニスコートが使えなくなったそうです。
その後、沿岸部の様子も知ってほしいという先生たちの思いから「被災農家弟子入り体験」という授業のプログラムが組まれ、荒浜の綿花畑を通じた子どもたちの活動が始まります。
弟子入り体験は、まず荒浜に生きる人の生の声を聞くことから始まります。
今年の7月にプロローグとして行われたのは、「仙台東部地域綿の花組合」の副組合長、渡邊静男さんによる講演です。
荒浜の街を襲う真っ黒な津波、避難する人々の様子、ヘリコプターによる救助…。
震災の経験談や復興に向かって歩きだす渡邊さんの話を聞き、涙する生徒もいたそうです。
その後、生徒たちは実際に荒浜の地へ足を運び、被災した荒浜小学校の視察や綿花畑の草取り作業などの活動を始めました。
そのような経験を経ての今回の収穫。
収穫の喜びはとても大きなものであったと思います。
生徒たちに、今日の収穫の感想を聞いてみました。
「今日の綿花の収穫で、農家の人たちの今までの頑張りや思いが伝わってきました。収穫されたたくさんの綿花を見て、これからも前を見て頑張ってほしいと思います」
「まだ荒浜にはがれきが残っているけど、綿花が農家の方々の希望につながればいいなと思います」
「子どもたちには震災を経験した方の体験談を聞くことで、生き抜く力を感じ、養ってほしいです」
そう話してくれたのは、南吉成中学校の髙橋教義校長です。
「実際に荒浜の惨状を目の当たりにしてから、子どもたちは被災地や、被災された方に対して何かをしたいという思いが大きくなっていたようです。この体験で、“自分たちでも何かができる”ということを実感していたと思います。“自分は社会貢献をしたんだ”という自信を持ち、助け合いができる大人になってほしいと思います」
荒浜から学んだ防災への意識。
髙橋校長は今後、この経験を基に、子どもたちとともに自分たちの地域の防災力を高める活動をしていきたい、と言います。
炊き出しや避難所の設置と運営などの地域防災訓練は、今後漸次子どもたちの手により実施していく予定そうです。
それが地域住民と子どもたちの関わりを強くし、災害弱者を見過ごさない地域づくりにつながる、と髙橋校長は話をしてくれました。
収穫祭では1年生全員で「花は咲く」の合唱を披露。 大勢の人が聞き入っていました。 |
「I ♥ 綿花」 by 南吉成中 カメラを向けると、生徒たちがたくさん集まってくれました。 |
荒浜と名取の被災した農家を支援する「東北コットンプロジェクト」。
東北の農業の新しい道しるべを示すのみでなく、子どもたちが考える“何かしたい”という思いを農業を通じて後押しし、経験の幅を広げていました。
震災当時は小学生だった生徒たち。
もしかしたらこの経験をきっかけに、仙台の農業復興、街の復興の担い手になる大きな人材が生まれるかもしれません。
綿花の収穫を通して身に付けた防災意識やその知識。
大きな災害が起こらずとも、いつかきっと誰かの支えになる日が来るのではないでしょうか。
(取材日 平成24年11月17日)